60ナノ

http://mainichi.jp/select/science/news/20110927ddm012040130000c.html

素粒子の一種であるニュートリノが光速を超えたという欧州機関の発表を受け、研究チームの小松雅宏・名古屋大准教授(素粒子実験)らが26日、同大でセミナーを開いた。記者会見した小松准教授は、「常識に合わないからといって結果を公表しないのは、研究者として正しくない姿勢だ」と述べた。また、実験の目的は別にあり、今回の成果は副産物だったことも明かした。【河内敏康】

 研究チームは、高精度GPS(全地球測位システム)を使って、欧州合同原子核研究所(CERN)とイタリア・グランサッソ国立研究所の時計をあわせ、距離を測定。その上で、CERNの加速器を使ってニュートリノを打ち出し、地下を通って約730キロ離れた国立研究所の検出器で観測した結果、光速より60ナノ秒(1億分の6秒、ナノは10億分の1)速く到達したのを確認した。

 同じ研究チームの中村光広・名古屋大准教授(素粒子実験)は「初めは、とんでもない間違いをしていると思った」と振り返る。そこで、今年3月から約半年間かけて検証を積み重ね、「あらゆる否定を試みたが、最後までどうしても(60ナノ秒が)消せずに残った」(小松さん)という。